"双門大滝"への道 2007−1                 
 くだらない話はすっとばす


双門大滝は近畿最高峰である八剣山(1914m)・弥山(1895m)のまさに麓、日本の滝百選最難関とも言われる滝である。
2007年4月、西日本最高峰石鎚山(1982m)の麓、「御来光の滝」への訪瀑で登山の自信をつけた僕は当然のごとく次に双門大滝への訪瀑を考えた。
すでに双門大滝への道程を記載されたHPは昨年より調査してある。

御来光の滝と双門大滝とを比較して考えると

・徒歩の時間
  御来光の滝 : takimiさん2時間半、自分3時間半(大水量時)
  双門大滝  : takimiさん3時間弱(白河八丁より)、瑠璃さん4時間(熊渡より)
  少なくとも御来光よりは時間がかかる、最低でも片道4時間半は考えておく必要あり。
  ただし、御来光は石鎚スカイラインが7時じゃないと通れないのに対し、
  双門は熊渡まで車でいつでも行く事ができる。夜明けと同時にスタートできれば差は無い
・ルート中の難関
  御来光の滝 : 遡行と最後の300mの高低差の登り
  双門大滝  : 岩へつり、梯子30連発
  高度感あり。梯子登りにどの程度体力が必要なのかが想像がつかないが、ゆっくり行けば心配ないだろう。

takimiさん・まことちゃん・デジマンさん等経験者からは「はじめさんなら問題ない」との話を頂いたが、一方「単独で行くのは危険だ」というアドバイスも・・・ここのところが微妙だ・・・



1.双門行き決定

どうしても行って見てみたい双門大滝。
さて誰かと一緒に行くといっても誰と行けばいいのか・・・
往復9時間の危険な道を一緒に歩いてやろうという奇特な人はそんなにいるもんじゃない。
この滝の素晴らしさを話して興味を持ってくれる人は稀にいることはいるものの、梯子の写真などを見せると高所恐怖症でとても行けないとの返事。是非行きたいとおっしゃってるmaruichiさんも休みの都合がはっきりしないとのこと・・・・
そもそも天川ユースホステルの企画で双門行きツアーが9月にあることをmaruichiさんが教えてくれていた。そのツアーならベテラン同行だし安全。しかし、大人数での道程は時間が束縛されるのでゆっくり写真を撮ってる暇は無い。まして9月は今より陽が1時間以上短くゆっくりしてると日が暮れてしまう恐れがある。今なら朝早くから明るいので5時からでも十分出発できる。どう考えても今の時期がベストだ。
一人で行こうか・・・・

そんなときにたけちゃんと出会った。
たけちゃんは近くの部署に最近異動になった仕事の同僚。
偶然御来光の滝の話をしていたら彼も毎年きまって石鎚山頂に登っているのだそうだ。ただ御来光の滝を知らないばかりか滝そのものもほとんど見たことが無いという話。
彼なら僕よりも若く体力的にも全く問題ないだろう。そこで僕は百選最難関といわれる双門の滝行きを誘ってみた。
危なそうな写真も見せていろいろ説明したが彼は超乗り気。一気に双門行きの話が現実になった。

日程は5月19日に決定。18日の夜に天川に入り19日決行、一泊して20日に帰るというスケジュールだ。雨の場合の予備で5月26日。
Maruichiさんにも予定を連絡した。Maruichiさんは26日であれば休める可能性はあるがまだ不明確だそうなので、とりあえず19日の線で予定を組んだ。
降水確率20%以下で決行だ。



2. 直前まで紆余曲折

それがせっかく双門行きを19日で計画したものの、急遽18日に東京行きの出張が入る。
いくらなんでも東京からスーツで天川に入るなんて出来ない。やむなく日程は1週間ずらし26日に変更。たけちゃん・maruichiさんに連絡。
たけちゃんとは装備についての打合せを行う。トレッキングシューズ・スパッツ・滑り止め付の軍手・雨具・水・酸素・食事などなど・・・・たけちゃんもこのために出費するわけだから責任を感じる。

そんなおり、MY掲示板に滝の思い出さんから同行したいとの書き込み。
滝の思い出さんは百選滝踏破を目指して現在91滝をめぐっているというツワモノだ。あのきつい御来光の滝へも僕の1週間後においわさん達と同行されているのだから体力的な問題はおそらくないだろう。2人よりは3人の方がいざというときは安心。大人数は大変だが、3〜4人というのは滝行きの人数としてはベストかもしれない。快く同意。

さて、決行日から2週間を切って詳しい行程をつめることにした。
二人からは僕に全ておまかせとの了解をいただいている。まずはNETで安い宿を探すことにした。
前日25日(金)は当初車中泊を計画していたのだが、当日の疲れを考えると布団で寝た方が無難。天川村の大谷屋さんという民宿が3千円台で泊めてくれるとわかり3人分の予約を入れる。また当日26日(土)も連泊することに決定。26日はmaruichiさんが来るかもしれないので4人で予約。食事つきで8000円を切る価格だからみんな文句なし。
あと心配なのは天気だけだ・・・・長期予報では降水確率40%

5月16日(水)・・・決行10日前
宿のキャンセルは前日でOKということだから24日(木)には双門行きの最終決定をしないといけない。一応リーダーの特権で以下のことを決め、全員に通知した。
・ 24日の夕方の予報で降水確率50%未満なら25日宿泊、50%以上で宿キャンセル&延期
・ 25日の夕方の予報で降水確率30%未満なら双門決行&26日宿泊、30%以上なら笹の滝方面へ滝見した後帰宅

なんせ雨の双門大滝行きは大きな危険が予想される。滝で滑って落ちて死んだら本望だなどと他人には言っているのだが^^;、リーダーの立場で無理は出来ない。

5月18日(金)
東京出張。
新宿ビックカメラの横の小田急でワコールのCW−Xが目に留まる。しげしげと見てたら女性従業員の方が近寄ってきて説明してくれた。試着してみろといわれて試着した。なんか断るのが悪くなってきて衝動買いしてしまった。一日中そのままでで都内を歩いてみたが、なんか違和感を感じた。
これをつけてて疲れが少ないなら1万3千円も高くない・・・・と自分に言い聞かす。

5月20日(日)
CW−Xの効果を試すのもかねて四国徳島の轟九十九滝へ行く。(レポ
合計徒歩5時間、効果有るような無いような・・・・翌日脚が痛くないから効果はあったのかな?

5月21日(月)
いまだ26日の降水確率は40%
そしたら滝の思い出さんからメールが届いた。「あさってにできません?」
「そんな無茶なぁ・・・おっちゃ〜ん」と思わず声が・・・^^;
こっちはしがないサラリーマン、急に平日2日間の予定を変えられない。丁重にお断りのメールを送る。
滝百選踏破を前にしての難関滝、気がはやるのも良くわかる。

5月22日(火)
26日の降水確率が40%から60%に上昇した
Maruichiさんから不参加のメールが届く。Maruichiさんの場合は予め翌日休みを取らないといけないのだからやむを得ないだろう。どうせ行くのなら好条件のときにと誰でも思う。

5月23日(水)・・・・決行3日前
滝の思い出さんからメール。「27日にしません?」
「お〜い・・・またかよぉ〜」・・・・とは思ったがこれには心が動いた。27日は降水確率10%
28日の月曜日一日だけなら会社を休めなくも無い気がしたからだ。
たけちゃんに連絡してみようとするが連絡がつかない。
どうするか・・・・まだ一日の余裕がある。

5月24日(木)・・・・決行2日前
宿をキャンセルするかどうかを決めなければいけない日
なんと急に降水確率が60%から10%に変わった!!
滝の思い出さんからメールが届く「滝行き決定ですね」
もちろんです!!



3.天川村へ

5月25日(金)・・・・出発の日

天気予報どおりの雨
たけちゃんは何時でも出られるとのこと
僕の方も準備万端。午後の来客が中止になったので、休みをもらって昼一から出発することに変更。
たけちゃんをコンビニに迎えに行き、天川村に向かって遂にスタートした。

車の中でたけちゃんと最後の打合せ
● 休憩を多めに入れてゆっくり歩く。時間に余裕はあるはず。
● 絶対に無理はしない。
● 危ないと思ったら迷わず引き返す。
● 誰か一人でも怪我をしたり体調が悪くなったら全員引き返す。
● 緊急の連絡先を教えあうこと。

山陽道から中国道・近畿道・阪和道・南阪奈道と進み橿原に入ったのは4時すぎ。
まだ晩飯には時間が早いが、このまま天川に入ると食べるところがなくなってしまう。天川にはコンビニも無いと聞いている。
しかしせっかく天川へ行くのだから明るいうちに天河弁財天に行ってみたいとたけちゃんに話をした。
五十鈴のお守りを買って帰りたいのだ。

ちょっと雑学タイム
天川は修験道の聖地。修験道ではいろんな修行を行うので知られているが、その修行の中でも一番過酷であり最高修行とされているのが大峰奥駆修行。吉野山から現在でも女人禁制の大峰山(山上ヶ岳)・弥山・八剣山・釈迦ヶ岳を巡り前鬼に至る道なき道(大峰奥駆道:世界遺産)約150kmを進むものだ。その中心となる大峰山系が全て天川村にある。そしてさらにその最高峰八剣山・弥山に端を発する弥山川に双門の滝がある。
山伏のまことちゃんが何度も双門大滝に呼ばれたというのはとても納得できる話なのだ^^;

弥山の山頂には弥山神社があるが、かつて大峯修験道の祖・役行者(えんのぎょうじゃ)が、山上ヶ岳で修行中に感得した弁財天を大峰山系の弥山の頂上に大峯の鎮守として祀ったのが始まりで、この弁財天を天武天皇が現在地に社殿を建立して移したものが今の天河弁財天社だ。だから弥山神社は天河弁財天社の奥宮として今も信仰を集めている。
また天河弁財天社は厳島・竹生島の弁財天とならび日本三大弁天の筆頭とされており、古くは「天ノ安川ノ宮」と呼ばれ天川の名前の由来にもなっている。
ここは芸能の神様。立派な能舞台があり毎年能が奉納される。
じつはこの神社かなり前からマスコミや音楽関係者たちのあいだでは信仰されていたらしい。長渕剛と志保美悦子がお忍びでここで結婚式を挙げたそうである。後に映画化された内田康夫の小説「天河伝説殺人事件」の舞台となって一般の人にも知れ渡る様になったそうだ。(僕もこのおかげで知ることになったのだが)

その小説にもでてくる「五十鈴」はこの天河弁財天のシンボルともいえるもので、由来としては天照大御神が天岩戸にこもって世の中が真っ暗になったとき、天宇受売命(あめのうずめのみこと)が神代鈴が付いたちまきの矛をもって天岩戸の前で舞を舞い、それ見たさに天照大御神が岩戸を開けたことにより天地がまた明るくなったという伝承のなかで、天宇受売命が使用した神代鈴と同様のものであると伝えられている。これが芸能の神と言われる由縁でもある。
通常神社には丸い鈴があり、その丸い鈴を鳴らしてから願をかけたりするが、ここの鈴(五十鈴)は形が変わっている。鈴3つが正三角形上に金属の輪で水平に繋がったもの、それが上下2段になっているのだ。
鳴らし方がまた難しく、知らない人は五十鈴を鳴らすことはまずできないだろうと思う。
綱を五十鈴にある輪の中で擦りあわすように振り回すのだ。鈴そのものを回すのではない。
うまく回すとウオーンといううなるような不思議な音がする
http://www.tenkawa-jinja.or.jp/yuisyo/yuisyo1.html
    


国道309号を天河方面に進む
途中で丹生川上下社というのがあったので立ち寄った。
    
「いのちの水」なるものがあったが由来は良くわからない。水の神様のようだ。

寄り道したせいで天河弁財天に着いたのは5時過ぎ、すでに社務所は閉まっており五十鈴のお守りを買うことは出来なかった。能舞台の前に地元の人がいたので聞いてみると7時から17時までらしい。出直すしかないか・・・
親切な方でこの方から神社についていろいろ教えていただいたのだが、明日双門の滝へ行くことを話すと、それは是非登山届けを出してくださいと言われた。まれに事故があるのだそうである。
届け先は天川村の警察。念のために届けは出しておこうか・・・(汗)

晩飯&コンビニで明日の朝飯と昼飯を仕入れるために天川村から約20kmほど北の大淀町へR309を引き返す。
途中に天川村の派出所があったので登山届けを出す。
届けを書こうとして気付いたが、ここにいる二人の名前と住所はいいけど滝の思い出さんの連絡先がわからない。警察に話すと苗字だけでも良いですと言われた。3人同時に行方不明になることは無いということだろうか・・・
最初怪訝そうだった警察の人も、登山届けということでいろいろアドバイスしてくれた。
ただどうもあまり行かせたくない雰囲気。「双門大滝へは登る方はいいが帰る方は危険だ。できたらそのまま狼平まで登って天河神社方面に降りて欲しい」とのこと。しかし急にいわれても道がわからないというと、しばらく考えて、では注意して三点支持を守って降りてくださいということになった。うーん・・・・プレッシャーをかけられた。
たけちゃんも心配げな顔。
誰か怪我でもして捜索隊を出すようになると大変だからなぁ・・・いずれにしても地元の人はこのルート相当危ないと思ってるようだ。
熊渡からの林道は林野庁の人がチェーンに鍵をかけているので多分車は通れませんよと言われた。
片道30分はロスだが止むを得ない。

大淀町のGSで教えてもらった美味しいうどんを食べ、コンビニで明日の食料(朝昼)を調達する。
民宿には朝出発が早いので朝食は結構と断ってある。
パン4つに酸素水500mlを3本。チョコレートも買う。これで必要なものは全てだ。

民宿に入るため、再び天川村に向け車を走らせる。
あたりは暗くなったのに、まだ雨は降り止まない。
しかし明日の降水確率は0%に変わっている。とりあえずは天気の心配はないはずだ。

大谷屋に入ると滝の思い出さんがレンタカーですでに到着していた。
もっと早く僕の予定が決まっていれば途中で乗せていってあげられたからレンタカーをキャンセルすることも出来たのにと反省。
「はじめまして、滝の思い出です」
「はじめまして、はじめです」・・・・ちょっと言いにくい^^;
すぐに打解けていろんな話で盛り上がったが、翌朝早いので11時には就寝。
正直滝の思い出さんは気難しい人かと思っていたが、とても気さくな話しやすい人だった。
明日が楽しみだ。
布団で寝られるというのは嬉しい。


5月26日(土)・・・・決行当日

3時半頃起床。たけちゃんの携帯目覚ましで僕も目が覚めた。
朝には弱い僕だが、さすがに興奮しているのかすぐ目が冴えた。
滝の思い出さんは昨夜のウイスキーがまだ残ってるのかまだおねむ。たけちゃんが起こしに行った。
「滝の思い出さ〜ん、起きましょう〜」
「ン"〜〜〜ムニャムニャ・・・」ついに当日だというのに、滝の思い出さんは肝っ玉が太いかも(^^;
朝飯のパンを食べ早速最終準備に入る
CW−Xを装着、役に立ってくれればいいが・・・・
カメラ一式が入ったリュックに水やパンを詰め込む
今回持ち込むレンズはEFS17-85ISとEF70-300ISの2本
悩んだ上に決めたレンズだ。
本来なら機材を軽くするために望遠レンズは200mmまでにしたいところ、しかしこの滝を300mm(実質480mm)で撮影しようとした人はこれまでほとんどいないんじゃないか、300mmで撮ればきっと貴重な写真になるんじゃないかという一つのこだわりがあった。今回は御来光の滝のときのように超広角レンズの使用用途はないだろうと考え、サブのレンズとしては御来光の滝の時のEFS10-22とシグマ55-200の2本に代えてEF70-300ISの1本だけを持ち込むことにした。重量的には変わらない。
三脚は山用のSLIKスプリントPRO3way。300mmのレンズには不足な三脚だがこれ以上重いものはさすがに辛すぎる。
道程の写真用にはいつものDSC-T9をポケットに入れておく。すでに傷だらけだがなんといってもこのコンデジは薄くて片手だけで操作できるのがいい。

4:30 大谷屋を出発
外はすでに明るい。
道路は濡れているが、予報どおり雨は完全に止んでいる。
大谷屋のおかみさんがゆで卵とバナナを持たせてくれた。
このおかみさんは元学校の先生と聞いた。
双門大滝からそのまま上まで登ってこちらの尾根を降りてこられたらと言われた。こちらから話しても無いのに警察と同じこと言われる。どうも双門大滝からの下りで事故があったようだ。
気をつけての一言。
とてもやさしいおかみさんだ。
僕のリュックにもうスペースが空いて無いことを察したたけちゃんが僕の分のバナナや卵も持ってくれた。
親切が身にしみる。

4:50 熊渡に到着
警察の人が言ってた通り林道入口にはチェーンがあり南京錠がかけてある。
まぁそれも想定の範囲だ
道路脇に4WD車が一台。中で寝てるのかも・・・僕もその並びに車を停め、まず外の空気を吸った。美味しい。
トレッキングシューズに履き替えスパッツを付けウエストバッグを巻きリュックを担ぐ。
杖は邪魔になるかもしれないが御来光の滝ではとても役に立ったので、一応持って歩くことにした。
みんなも準備万端。
さぁ双門大滝に向け出発だ。



つづく

    
 

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