鬼釜ふたたび!  



2014年8月10日未明、台風11号が四国から中国地方を横断して日本海へ抜けた
この日、地元福山はほとんど雨が降らない状態。
これは前日までの雨で鬼釜の滝が見られるチャンスと考え、午後鬼釜に向かってみた。

鬼釜の滝は通常はほとんど水が落ちておらず、しかし水が多いとその水に行く手を阻まれる。
鬼釜洞窟へ行くのは水が冷たくない夏で、さらにまとまった雨の後。さらに水量が適度であるという条件が必要となる。
前回、2010年に訪れた時はそれがちょうど良いバランスのタイミングだった。
難関のゴルジュはハシゴを掛けてクリアした。


車を走らせ鬼釜まであと10kmというところで雨が落ち始める。
山間部はやはり台風の影響を強く受けるようだ。
現地到着は14:30
下流の流れを覗いて見ると水がかなり流れている。ここは水が少ないと伏流水になる場所なので、これだけ流れていると相当な水量に違いない。
 

鮎足袋に履き替え、まずは手ぶらで難関のゴルジュの様子を見に行った。
幅1m、高さ30mの途方も無く切り立ったゴルジュ、小さな谷の全ての水がここに集まってくる。
  
確認すると水が茶色く濁っていて、これまで見たことも無い勢いで水が流れていた。
小雨が降っている中、さすがにこの状態で鬼釜を目指すのは無謀すぎる。
翌日にもう一度訪れてみることにして、撤退を決めた
戻りに水の中を歩いていると、流木の脇から引っかかったイノシシの二本の足が上向きに出ているのを発見。
鬼釜に落ちたイノシシが溺れて死んだのだろう。
可哀想にこの谷に一旦落ちたらイノシシさえ上がることはできない。
流木をよけて下流に流してやった





翌、8月11日
朝から鬼釜に向けて出発、雨は降っていない。
現地到着は9:30
谷を除いてみると、少し水が引いている
 

早速支度に入った、
今回の装備は速乾ズボン、鮎足袋、1.5mアルミ脚立(3mハシゴ)、ハーネス、エイトカン、50mロープ、ヘルメット、カメラ、三脚だ。
ロープを用意したのは帰るときの滑落を心配したもの。ただなんせゴルジュなので、ロープを掛けられて回収できるような支点があるかどうかが問題だが。。。。

難関ポイントの最狭部まで来た。
  
水の濁りは幾分良くなり、矢印のところの岩が見えるようになっていた。
ただ、2010年に訪れた時はこの岩は頭を出していたので、そのときよりも明らかに水量が多い

ここのゴルジュは単純な川のようで、実は5つの小さな淵が連続している。
最奥が水が横に飛び出ているところで1m弱四方。深さは不明
2番目の淵は矢印の岩の向こう側で1m四方。ここは水が渦を巻いていて、深さが約1.5m
3番目の淵は幅2m×4m、深さは70cm
4番目の淵は幅2m×2m、深さは30cm
5番目の淵は幅2m×4m、深さは70cm

股下までの深さの淵を進み、脚立を抱えて最奥の淵へと向かった。
水平に飛び出している水の上に上手くハシゴをかけないと上にいけない
脚立を伸ばしてハシゴにして奥の壁に立てかけようとするが、水流ではしごが流されて上手くいかない。
二番目の淵はハシゴを差し込むと、ハシゴが勝手に回転するような状況なのだ
  手前が二番目の淵の渦巻き

3番目の淵からハシゴをほぼ水平にして立てかけて先を覗いてみたが、どうもこれでは登れそうにない
 
ここで諦めるか・・・・

しかしここまで来て・・・・という思いから別のルートを模索した
右岸のコブ(岩)の上を壁伝いにトラバースできないか
 

上の絵のように、3番目の淵からコブの端まで、3mのハシゴでギリギリ何とか届きそう。
3番目の淵は流れが比較的穏やかなので、ハシゴを立てかけて横にさえ倒れなければ大丈夫
試行錯誤の末、コブのほうもハシゴが横に滑らないような場所が見つかり、ハシゴを安定させることができた。
これなら行ける!

恐る恐るハシゴの最上部に登り、岩に右足をかける。フェルトの鮎足袋は濡れた岩のグリップ力は抜群だ
安心してもう一歩進めたときにズリッと滑った。左足が砂の上に乗ったためだ
両手でこらえる。滑り止め付きの軍手は安いけどとても役に立つ
コブの上に立ったあとは今度は左方向にトラバース
壁にへばりついて足場を探して滝の上側に下りることができた。

ここまで来れば一安心。
しかし今度はここを降りることを心配しないといけない。
そのために重いロープを持ってきたのだ。
まずロープを下ろして降りる準備を先に行う。

ところが、予想通り近くにロープをかけるところは周囲どこにも無い
そこにおあつらえ向きの流木が一本。
これを岩の間に挟んでそれを支点にすることにする
ちょっと頼りないが、岩を積み重ねて木が浮き上がらないようにした
この木にロープの中央部をかけて準備完了


さて、安心したところで写真を撮ろうとしたらカメラ(TX20)の電源が入らない
元々は防水仕様のTX20だけど、ボロボロになっているので、どうやら水の中を歩いたときに中が浸水したらしい。
しかたないと諦め、KissX5を取り出して撮影

  

さて、上流に進むことにする
ここから30mほどで次の小滝に到着
  先に洞窟入口が見える

ここの淵は両サイドに逃げるところが無いのでジャブジャブ進むしかない
今回の通った中で一番深くて、端を通っても90cm位の深さがあった

上に流木がかかっているが、この木は4年前も同様にあった。
この木にロープをかけるのが一番安心感があるが、それだと50mロープをシングルで使わないと届かないので、後からの回収ができなくなる。
本来ならハーケンを打ってそれに短いロープをかけるべきだったのだろうが、その技量が自分に無い。


さてこの小滝を上がると、鬼釜最初の洞窟になる
 

 さらに進むと、二つ目の洞窟入口
 

 そして二つ目の洞窟入口まで歩くと、やっと鬼釜の滝が見えてくる
 

今回は途中で苦労したせいでここまで1時間半もかかってしまった。

そしてついに鬼釜の滝
 

この滝は3段の滝で2段目の途中から洞窟の中に入ってくる
過去見た中で最高の水飛沫で、バシバシカメラに飛んでくる
暗くてシャッタースピードが稼げないので水飛沫が写せず残念。靄みたいに見えるのは全部水飛沫

夏なのでとても気持ち良さそうだが、何枚も撮っているうちに寒くなってきた。
全身ずぶ濡れなので、冷えてきた感じだ。

さらに洞窟を最奥まで進み、振り返って下流側を見たところがこちら
左側の薄っすらと白く見えるのが滝の下部である
 

この一連の写真(5枚)は、いずれもISO800/F5.6/1.3sec〜20sec をHDRしている
洞窟の内側は非常に暗く、一方外側の景色は非常に明るいので1枚の写真で両方は写せない
シャッタースピード4段分の差を1枚にしないといけないカメラマン泣かせの滝ということになる







滝の前に30分くらいいただろうか・・・寒くなってきたので引き返すことにした。

ロープのところまで帰り、エイトカンに二本のロープを通してゴルジュ滝の上へ
そこから右岸の壁にへばりついてトラバースしてコブの上に出る
ロープに体重をかけて降下し、ハシゴに足を伸ばして着地
第三の淵に降り立ち、はしごを回収してから岩の上で休憩
ほっと一息。ふぅ・・・・・

ハーネスからロープを外して片側を引っ張り回収する

ん・・・・引っかかってロープが動かない・・・・なんでじゃ!!


しかしこのままロープを置いて帰るわけにも行かない
仕方ないので、またハシゴをかけてコブの上に登る
カメラと三脚を持っていないだけは楽だ
コブの上からロープを引っ張ってみたら、ズルズルと動き出した
どうやらロープが水に濡れて重かったせいのようだった。

ハシゴまでの長さを残したまま、ハシゴ最上部まで降下し、そこでもう一度片側を引っ張ってみる
ちゃんと動いた
ヤレヤレ・・・・

再度ハシゴを回収。ロープも回収
そして50mのロープを持って帰れるように束ねないといけない
自分のロープはベアールのベルドン2(9mm)、49g/m ということになっている
50mなら2.5kg程度のはず
ところが水に濡れてメチャ重い
束ねるのに10分くらいかかった上に、持って帰るのがまた苦痛だ

車まで戻って下着まで全部着替える
まぁともあれ、無事に帰れてほっとした
総行程4時間。


今度来ることがあったらハーケンを持ってこないとダメだね




    
 

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