はじめての一眼レフ3 「EOS Kiss デジタルN」 でレンズの比較-2
レンズの面白さを知ってしまった僕が次なるターゲットとして考えたのが上の表に追加した ● EF28mm F1.8 USM ● EF-S60mm F2.8 USM Macro この2本だ。 前回のEF50mm F1.8Uのテストで単焦点レンズの写りの良さ(シャープさ)と明るさ(暗いところでもシャッターが切れる)を知ってしまい、50mmという画角だけでは満足できなくなってしまった僕は単焦点でもっと広角のレンズが一つ欲しくなった。それが「EF28mm F1.8 USM」。 EF50mm F1.8Uというレンズの50mmという画角はKissデジタルNでは銀塩カメラの80mmの画角(約2.3倍)に相当するが、その明るさから室内などの暗い場所で特に活躍するであろうが、人の顔や上半身のポートレートなどには向いているものの、室内で人の全身を写すのはちょっと無理。 広角レンズであれば全身は写るし、カメラ自体が800万画素もあるので拡大したければパソコンで切り取れば拡大写真にもすることができる。デジタルではある意味広角レンズのほうが万能レンズだ。 本当は20mm(0.9倍)や24mm(1.1倍)で明るい(F2以下の)レンズが望ましいのだが、キャノン純正のレンズではEF24mm F1.4Lという定価なんと226,800円もするレンズしか存在しない。 キャノン以外ではシグマの20mm・24mmのF1.8というレンズが安価であるのだが、フィルター径82φ・77φというバカでかくて重いものになってしまうのが気にかかる。 というわけで、28mm(約1.3倍)の「EF28mm F1.8 USM(定価78,225円)」が第一候補。 次の候補はマクロレンズ。 滝見道などで咲いた花を撮影する際に拡大して撮りたい時がある。前回行った観音滝での野イチゴの写真はシグマ18-200mmで撮影しているが、あの大きさまでが限度だった。 こればっかりは大きく写せるマクロレンズがないことにはどうしようもない。 マクロレンズの候補としては他に評判の高い「タムロンSP90mm F2.8 MACRO」があるが、せっかく小さくて軽いKissDNが長く重たくなってしまうので、Kiss・20D専用となるが純正の「EF-S60mm F2.8 USM Macro」が候補となった。 F値・焦点距離と手振れ限度 さて、まずテストの前に絞りのF値とシャッタースピードの関係を確認しておこうと思う。 明るいレンズにどれだけの手振れ防止効果があるのかがレンズ選びの一つの重要ポイント。 室内で三脚なし・フラッシュなしで撮影するときはシャッタースピードと画角によって手振れ発生のしやすさが決まってしまう。 我が家のリビング(10畳)で大晦日の夜に「EF50mm F1.8U」でISO800(Pモード)でスナップ撮影した際のデータを調べてみると、 1/30sec・F1.8 〜 1/125sec・F3.2 の範囲(絞り3段分)がある。 撮影時の状態でずいぶん差が大きく、現実に露出が異なっているわけだが、仮にその中で一番多かった1/60sec・F2.0を標準として考えてみよう。 手振れは1/40sec以下で多く発生しており、1/50secの写真は手振れしていないものの方が多いことがわかった。 一般的にシャッタースピードの手振れ限度は「1/実質焦点距離」といわれているが、今回は50mmレンズでシャッタースピード1/50secはぎりぎりOKだと考えた。 夜間室内(リビング)でのノーフラッシュ手持ち撮影時の手振れの目安(ISO800時)
夜間室内で手持ちノーフラッシュ撮影が出来るレンズを選ぶには、この表で焦点距離とF値の交点が◎のものが望ましい。(ISO1600は実用ではないとして) つまり ・EF50mm F1.8U → ギリギリOKかな (EF20mm F2.8 USM、EF35mm F2も同じくらい) ・EF-S60mm F2.8 → NG ・EF-S18-55mm F3.5-5.6 、シグマ18-200mm F3.5-6.3 → 18mm広角側もすべてNG ・EF28mm F1.8 → OK ・EF85mm F1.8 → NG となる。 したがって夜間室内でのスナップ撮影にはどうしても「EF28mm F1.8 USM」が欲しくなる また、手振れ防止レンズ(CANONのISレンズやNIKONのVRレンズ)は手振れを2段から3段分防止する効果があるのだそうだ。 とするとたとえば ・EF-S17-85mm F4-5.6 IS USM → 50mm程度までなら使用可能 → (EF50mm F1.8Uで代替可能) ということになる ※ もちろん昼間の室内は明るいのでこの限りではない レンズの実力2(F値と解像度) 生データ 各レンズの実力を知るために、そのレンズにとっていくらの絞りの数値(F値)が一番実力を発揮するのかをjpegのファイルサイズを調べることによって確認してみた。 jpegでは同じ画像サイズで同じ被写体でも、情報量が少なければそれだけ多く圧縮されるので、ファイルのサイズが小さくなってくるはず。(ボケはファイルサイズを小さくするが) KissDNで画像サイズをLサイズファインにしてレンズごとに絞りを変更して同じ被写体を撮影してみた。 被写体は家の壁紙(撮影距離約2.5m)と、F値が低いことによるボケを排除するために離れた建物(撮影距離約25m)の2種類。 ズームレンズはW端とT端の両方をチェックした。 (最初は離れた山を撮影してみたが、風が吹いて木々が揺れるためにうまくデータが取れなかった) その結果は以下の通り CANON純正のレンズはほぼF8〜F10のあたりにピークが来ているので、解像度の高い写真を撮影をするにはこのあたりまで絞って撮影した方が良さそうだ。 単焦点レンズの「EF50mm F1.8U」や「EF-S60mm F2.8 USM Macro」「EF-S60mm F2.8 USM Macro」も同様で、レンズが明るいからといってあまり絞らずに撮影すると真の実力が発揮されないことになりそうだ。単焦点レンズに解像度を要求するならせめてF4以上、できればF5.6位絞りたいところ。 SIGMA18-200については比較的F値による解像度の変化は少ないようだが、テレ側(200mm)とワイド側(18mm)でピークの位置が異なる。望遠側で撮影する場合はF9〜F15あたりが良く、広角側で遠景を撮影する場合はF5〜F7.1あたりが良さそうだ。 おそらくこのレンズは近距離での撮影頻度は少なく遠景を広角で撮影する頻度が高いだろうから、この数字は覚えておく必要がありそうだ。 F値の低い部分で単焦点レンズの近距離撮影時の数値が低くなっているのはボケが原因しているようだ。 3種類の単焦点レンズを比較して「EF-S60mm F2.8 USM Macro」が一番数値が低いということは、このレンズが背景をよりぼかし易いということになるとも考えられる。焦点距離が長いことによるものであろう。 ズームレンズでは近距離と遠距離の解像度の差はあまり出てきておらず、この「EF-S60mm F2.8 USM Macro」は特にこの差が大きい。 逆に考えると、被写界深度が浅いのでピントが合わせ難いと言えるかもしれない。 「EF28mm F1.8 USM」については近距離撮影時にファイルサイズにバラツキが大きい。後からわかったことだが、夜の撮影だったためにピントが安定していないということにどうも起因しているようだ。 特に絞りが開放に近い場合、もやっとした写真になりやすいので注意が必要だ。 実際の写真での比較
「EF-S60mm F2.8 USM Macro」はグラフからもわかるように「EF50mm F1.8 U」と比較すると背景のボケが大きくなっており(F4)ボケ方も柔らかい感じがする。解像度は「EF-S60mm F2.8 USM Macro」の方がやや高いようだがさほど変わらない。 また、前回のテストではF5.6では単焦点レンズとズームレンズとの間で解像度の差が顕著だったが、F8〜F11となるとさすがにその差は少なくなってくる。特に「EF-S18-55mm F3.5-5.6 UUSM」についてはあきらかにF5.6からF8に絞ることによって解像度が上がってきているのがよくわかる。これはグラフからも想像できる。 レンズによるAFの精度
ピントが一番合っている部分の目盛りの読みと合焦距離(基準を500mmとする、日中窓際室内で撮影)
平均を見るとEF50mmF1.8の後ピンが大きいようだが、それよりも着目すべきはSIGUMA18-200mmのバラツキの大きさだ。500mmに対して30mmのバラツキがある。回を重ねればこれはさらに拡大するかもしれない。 つまり、(遠景の撮影の場合はさほど問題になることはないだろうが)近くのものを撮影する場合はAFを信用しきってはいけないということになる。 近くを撮影する場合はちゃんとファインダーを見てマニュアルでピントあわせをしないといけない。 この点、マクロレンズのEF-S60mmはさすがという結果になった。 近距離用に設計されているだけあって、AFの誤差も非常に少なかった。 |
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