蕎麦屋現地調査−番外編 (2005.06)

雪花亭                            場所:広島県神石郡神石高原町安田684

 

 僕は横田町や松江・大山などへ向かうときは必ず182号線を北上するが、いつも車で走るときに気になっていたのが「蕎麦雪花亭」という小さな看板だった。
今回豊松村の「魚切の滝」へ写真撮りに行ったのだが、丁度いい機会なので「雪花亭」に訪れることに決めた。
 場所は神石高原町の182号線沿い、東側に安田小学校があるが、そのすぐ上側だからとてもわかりやすい。

国道を右折すると、古い民家らしき建物に「蕎麦雪花亭」と書いてあり、手前にジャリの駐車場がある。
着いたのが13:00すぎだったのだが、そのときはこの写真の駐車場に5・6台の車が停まっていた。

 

早速中にはいってみる。
趣のある古い建物の中にほぼ満席のお客さんが入っていた。
お店は若いご夫婦二人でされているようで、てんてこ舞いの様子。

建物の中は古い民家をそのまま使用されているようで、縁側のある和室二部屋を使用して営業をされており、風情があってとても懐かしいにおいがする。
聞けば築150年になるのだそうだ。



メニューはこうなっている。



当然注文するのは「ざるそば」なのだが、「もり」と「田舎」のどっちにしようか迷っていたところ、もう本日は「もり」が売り切れで「田舎」しか残っていないとのことだった。
まぁ「出雲そば」が好きな僕としては、甘皮の入った田舎蕎麦も望むところ。
また後から聞いたのだが、小麦粉と蕎麦粉の比率は「もり」が2:10、「田舎」は1:10とのことだ。
二つの値段の差50円は蕎麦粉の量からくるんだろうか?こんど聞いてみることにしよう。
蕎麦粉は北海道産を現在使用しているとのことだった。

さてしばらくして、その「田舎蕎麦」が運ばれてきた。
僕はこれを見てちょっとビックリ。蕎麦が太い。

 
 

こんなに太くてきれいに揃っている蕎麦を僕は初めて見た。
そして写真を見たらわかるだろうが、縦に曲がったそばが立つほどの弾力があるのだ。
最小回転半径10mmといったところだろうか。
箸で掴んでみても、極端に言うと箸の上に横たわるといった感じ。
田舎蕎麦をあまり食べたことがないのでなんともいえないけど、僕にとっては初体験の感触だ。

まず、つゆに薬味を入れず蕎麦を食べてみる。
期待通りのコシ。蕎麦の香りも良い。
さすがにこの硬さと太さだと、のど越しはあまり良くない。
しかし「出雲そば」を食べるときのモゴモゴ感とは異なり、表面の水分量が多いのか滑りが良く、蕎麦自体の弾力が強い。明らかに信州蕎麦の色合いが濃い田舎蕎麦だ。

つゆは鰹系のさほど辛くないもので上品。単独でつゆだけ飲むことも出来る。
豊平の「達磨」と方向性は似ているが、それほどの甘酸っぱさでもない。
僕はもう少し辛目のつゆの方が好きだけど、悪くはない。

とにかく独特の食感で美味しい。
結局あっという間に平らげてしまい、2枚目を注文した。

2枚目は薬味を多めに入れてみる。
とはいっても葱と大根おろしのみ。
わさびは単独で少しなめる程度にしないと、せっかくの蕎麦の風味がぼやけてしまう。
甘めのつゆに葱と大根おろしの薬味はなかなか良くマッチしていた。
量的には2枚食べると僕には少し多いかなといったところだが、さほど腹にはこたえない。
女性でもけっこういけるだろう。

後から当然蕎麦湯も出てきたが、さほど濃くなく粘度が低かった。
もう少しドロッとしていたほうが僕は嬉しい気がする。

というわけで、ざる「田舎蕎麦」2枚を完食。
ごちそうさまでした。



とにかくここの蕎麦は一度はみんな食べてみたらどうかと思う。
比較的福山からも近いし、どこでも食べられるような蕎麦ではない。

これだけの田舎でありながら満席になるんだから、リピーターも多いのだろう。
徐々に人気が出て来るような気もする。
大勢で行く際は予約をしておいたほうが無難かもしれない。

 2005.06.26
連れにせがまれて再び雪花亭を訪れた。
到着したのが前回と同じお昼の1時過ぎ。当日も満席で入口で奥さんに相当時間がかかりそうだと告げらた。
2時前にもう一度きますとお話しし、油木の百菜祭りにいって時間つぶし。やはり予約してきた方が良かったと後悔。
この日も「田舎そば」しか残っていないとのことで、結局「もりそば」はあきらめることになった。

前回懸案だった「もりそば」と「田舎そば」の50円の値段の違いについて聞いてみると、「田舎そば」の場合は甘皮入りの蕎麦粉を使用するわけだが、つなぎとなる小麦粉の量が少ないということから、巧く蕎麦が出来るようにその蕎麦粉について特別なブレンド品を注文し使用しているとのこと。
単純な「挽きぐるみ」の蕎麦というわけではないらしい。だからこれだけ見事な蕎麦になるのだと納得した。

「田舎そば」が出てくる。
この日もあいかわらず艶があってきれいな蕎麦だった。

そして、このコシ。 
 箸でつかんでも、蕎麦が上や横を向いているのが
わかるだろうか。
食べごたえ充分。
つゆの中に蕎麦をつけるのが難しいくらい。
前回よりもさらにパワーアップしているような気もした。

後から出てきた蕎麦湯がまた旨い。
そしてこの日は「そばがき」と「そばしるこ」も注文。
そばがき

 そばがきは蕎麦湯の中に入って出てくる方が一般的だが、ここはそのまま皿に乗ってくる。
薬味はネギ・ワサビに鰹節と海苔で醤油のような濃いダシがついてくる。
 そのまま食べるのがお薦めとのことだが、お好みで海苔を巻いて食べてくださいと言われた。
 まずそのまま食べてみると、とてもモチモチしていて香りよく美味しい。そばがきに鰹節をまぶしてから海苔を巻き巻寿司のようにして食べるのも良い。
初めてだったせいもあるが新鮮でどの食べ方もなかなか美味しく感じられた。
 お薦めです。
そばしるこ

 なんと抹茶と口直しのきざみ昆布が付いていて、しるこの中にはそばがきが入っている。
抹茶は蕎麦湯で入れてあるのだそうだ。
 しるこは相当甘いのかと思ったが、食べてみると甘さが控えられていてとても上品で美味。中のそばがきはトロトロで柔らかい。上記のそばがきとはまるで違う食感だ。
抹茶の方はそちらの香りが強くて蕎麦の香りはほのかな感じ。
 上品なしるこの甘さに苦い抹茶。とてもよい取り合わせで、さらに刻み昆布がまたよくマッチしている。
 こちらも絶対のお薦めだ。


いずれのサイドメニューもとても気に入った。
おなか一杯で苦しかったが、蕎麦は胃への負担が少ない。

次回はちゃんと予約するか早い時間に行くことにしよう。

 2005.07.03
三度目の訪問。
着いたのが12時過ぎだったせいか、充分余裕をもって座ることが出来た。
とはいっても1時前にはやはり満席で座れない状態に・・・
日曜日は12時に店に着くように行けば今のところ大丈夫そうだ。
今回、初めてもりそばを食べることが出来た。

 もりそば

「もりそば」は蕎麦粉と小麦粉の割合が10:2
上の写真と比べてもらえばわかるが、田舎そばと比較すると明らかに細くて喉越が良くバランスが取れている。
 ただし基本的な傾向は「田舎そば」と同じで、この太さにしてはしっかりしたコシがあり、食べていても小気味いい。そばも見事に揃っていて相当な腕前の持ち主だと感じた。
 インパクトは「田舎そば」にかなわないものの、これはかなり高得点の蕎麦だと思う。
写真を見ていると思い出してまた行きたくなった。

 尚、冷たいそばのメニューの中では「ぶっかけ」が田舎そば、それ以外の「おろし」「つけとろ」「つけ鴨」はもりそばを使用しているのだそうだ。
僕の中ではまたこのお店の株が上がった。
お客さんを連れてきても間違いなく喜ばれそうだ。

2010.8

いつからなのかわからないが、もり蕎麦の太さが細くなり、コシが無くなった。
あまりに以前と違っていたのでその次に訪れたときには田舎蕎麦を頼もうとしたが、現在は提供しておらず、新蕎麦の季節まで待って欲しいといわれた。
個人的には期待はずれの結果となったが、次に訪れるときは田舎蕎麦を頼むしかないだろう・・・

営業時間   11:30〜14:00、17:00〜19:00
定休日     金曜日、第一・第三木曜日
TEL      08478-9-0115


    

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送