蕎麦屋現地調査−番外編

日本そば 夢想庵                         場所:広島県世羅郡世羅町安田2345

 

 昨年ある方から世良の「夢想庵」のそばが美味しいという情報を頂き、今回あやめ祭りで上下に行く機会があったのでこの期を利用して訪れることにした。
場所はR184号を甲山から北上し約7km。安田地区から県道56号へ右折・東進し約1kmの地点を再度右折したところにある(上記住所を参照)。

県道56号線より

一昨年の年末に開業されたこのお店は雪花亭と同じく民家を改造した建物で、県道側から見ると店かどうかも良くわからない。
玄関はこの写真のちょうど裏側で、駐車場は2箇所あり相当台数を停めることができる。

店の中に入ってみると、ずいぶん広いことにまず驚かされた。
天井は高く、30人は座れそうで離れもあるようだ。


玄関の脇にはガラスで仕切られた部屋があり、その中に石臼・こね鉢・のし板・めん棒等が置いてあった。
ガラスには蕎麦粉が付着しており、朝粉を挽いて打ったのであろうということが窺えるようになっている。
また、その横で見つけた「スタンプラリー」の用紙にスタンプ。世羅町の観光パンフレットに店のパンフレット。後でわかった店のHP。
この店はひっそりとした個人的な蕎麦屋ではなく、すでに世羅町の観光の一部となっているようだ。

さて、メニューを見てみる。
蕎麦関係主体のメニューではあるが、蕎麦会席など非常に多彩だ。HPに有るのは一部だけ。
http://www5.ocn.ne.jp/~jsmihara/musouan/menu.html 参照
お目当ての「盛そば」は840円だが、「郷土そば」1260円というのがあったので女将さんらしき方に聞いてみると、「盛そば」は二八で「郷土そば」は限定で十割で打っているのだそうだ。
「やや高いな」と思いつつ各1枚づつを注文した。

少しして、先につゆと薬味だけが二人分運ばれてきた。
「盛そばのかたは?」と聞かれた。「こちらです」と回答。
つゆの量はどちらもやや多目だ。薬味はいずれもネギと山葵のみ。
ん?どちらも蕎麦なのに、もしかして十割と2八でつゆの中身が違うのだろうか???
しばらくして蕎麦が運ばれてきて謎が解明。
蕎麦の器の色とつゆ入れの色を合わせてあるのだ。なかなか細かい気配りがある。

盛そば 郷土そば

店内が暗かったのでなかなかきれいな写真が撮れずわかりにくいかもしれないが、郷土そばの方がやや太く、色が黒めで艶があるように見えた。

まず「盛そば」のほうから食べてみる。
硬さがあって香りもまずまずだ。ただのど越しはいまいち。食べると出雲そばのようにモゴモゴする感じがある。つゆは辛めでシャキッとしてとてもいい。
「郷土そば」の方はさらに腰が強くその傾向が強い。香りも良いので食べるのならちょっと高いけど限定の「郷土そば」の方がオススメだ。
そういえば横田町の「一風庵」のそばのイメージにちょっと似ている。
さすがに観光地にありがちな腰のない冷麦のような蕎麦とは異なり、それなりの手打ちの蕎麦屋の味がした。
あとから蕎麦湯が出てきたが、湯飲みに一杯分とつゆ差しが別に出された。
こういう風に蕎麦湯を飲むのは初体験。「これだけしかないの?」と考えるのは贅沢かな。

蕎麦湯とつゆ差し そば玉ぜんざい(525円)美味しいです

余談だが、ここのトイレは便器の少し手前まで畳が敷いてあって驚いた。中も水洗でとても清潔で気持ちがいい。こんな田舎で意外なイメージさえ感じた。

このお店の感想としては、こんな田んぼや畑の中にあって、建物の雰囲気・器・メニュー・PRと全てにこだわりを持ち、一見田舎の素朴な民家に入ったようで実はそれを武器にして洗練された営業をされているお店という印象を受けた。あらゆるところからお客さんを呼ぼうという意思が見えて来る。
都会と比べて圧倒的な地の不利があるわけで、これだけの店をしようと思えば苦労もあるだろう。
「世羅町に夢想庵という美味しい蕎麦有り」と言われるようになるまで、息長く研鑽を積みがんばってもらいたいものだ。

帰り際に女将さんに「お気をつけてお帰りください」と言われた。
その一言がなんか自分の田舎に帰ったようで心に残った。 

2006.06 再訪
世羅の農園へ花の撮影に行った際、久しぶりに立ち寄ってみた。
12時過ぎに到着したが既に満席で順番待ちの状態。時期が悪かったのか大混雑。
後からやってきた人たちの中にはあきらめて帰る人も多数いた。
そんな状態でも蕎麦が出てくるペースはいつもながらで、結局食事するまで1時間待つことになった。
逆に言えば営利主義に走ることなく店のペースを守っているとも言えるもので、蕎麦など手を抜いている様子は見られない。
この店は福山店とは違い手打ちであるが、今回食べた十割の郷土蕎麦は長さこそ少し短いもののボソボソになることなくコシと風味が良く感じられ、意外にも喉越しはさほど悪くなかった。
つゆもキリッとしていて僕好みだ。

 ↑ 郷土蕎麦(1260円)
    今回の写真の色合いの方が正しいです


 ← 外で順番を待つ人たち。車の中にも数名。
    20名以上はいたと思う。

世羅町が力を注いでいる観光農園に花が咲く時期であることもあるだろうが、このお店これだけ田舎でありながらすっかり定着して人気店になっていると感じた。
これからもこの味とポリシーを変えることなく続けてもらいたいものだと思う。

営業時間   11:00〜18:00
定休日     水曜日
TEL      0847-29-0488
URL      http://www5.ocn.ne.jp/~jsmihara/musouan/


    

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