ホタル撮影マニュアル  失敗しない蛍の光跡撮影方法  (2007.7改訂)

とかく蛍の撮影は難しいといわれているが、デジタル一眼レフカメラを持ってるならそんなに難しいことはない。
デジタルになって画像処理が簡単に出来るようになりますます有利になった。
夜景が撮れるならホタルだって撮れる。
今回、ホタルの光跡の撮影を通じて考えた「はじめ流、簡単ホタル撮影方法」をご紹介。




1.考え方

まず、一番のポイントはホタルと背景は別のものとして考えるということ。
だいたいホタルの光跡なんて相手が光っているもんだから、どうしたって勝手に写ってくる。
背景をどうやって写すかということがホタルの撮影の一番のポイントだ。

さて写真の露出は
 ・ISO
 ・絞り(F値)
 ・シャッタースピード
の3つで決まってくる。
ところが飛び回っているホタルは同じところにいないわけだから、
”光跡の明るさとシャッタースピードは全く関係ない”
だから予めホタルの明るさをISOと絞りで決めておいて、背景を撮るためにシャッタースピードだけあとから決めればいいわけだ。




2.準備

ホタルの光跡の撮影をするために必要なものを列記

カメラ マニュアル撮影が出来るカメラ(必)。高感度撮影に強くバルブ撮影できるものが理想
レンズ 開放F値の低いレンズの方が有利。一般的には28〜50mm(APS-C)位の単焦点レンズ
三脚 三脚は必須。撮影中に風で揺れたり振動で動いたりしないもの
レリーズ(リモコン) レリーズ(リモートスイッチ)はほぼ必須。シャッターボタンをロックできるもの。
ペンライト 携帯電話の灯りで代用可(ただし撮影場所によっては使用禁止)
ストップウォッチ バルブ撮影時に利用。秒の読める時計で代用可
黒い布 ペンライトなどの灯りを隠したりレンズの前を覆うために使用。黒い帽子で代用
セロテープ ピントリングを固定するのに使用
服装 長袖長ズボンで虫除けは使用しないこと。ホタルも虫
気合 1枚の写真に最低30分はかけるという心構え
余裕 薄暗いうちには三脚を立てて、念のために予め背景を撮影しておくという余裕
椅子 撮影中はのんびり椅子に座って待っておいたほうが楽な場合も




3.三脚にカメラをセットする前にピントを合わせる

まず車で現地に近付いてはいけない。
車のヘッドライトで周囲が明るくなると多くのカメラマンの写真が一斉にパーになる。
フラッシュなんかはもってのほか。光が当たるとホタルが飛ばなくなるので、とにかく灯りには一番注意すること。
携帯で写真を撮ろうとしている人がいたら注意すること。
暗い中歩いて現地に近付くが、見えなくてもカメラが自分の方を向いていることが多くある。携帯電話の液晶の灯りはホタルより明るいので当然写真に写りカメラマンの顰蹙を受けることになる。暗くなったら極力電源を切るようにしよう。
AF補助光にも注意。AFを使うなら予めOFFにすることを絶対忘れないように。他人が撮ってる写真が赤くなっていることがある。
なによりホタルにとって灯りはとても迷惑なのだ。来年もホタルを見たいと思うなら光には充分注意すること。
また歩いていると、人がいなくても三脚が立っていることがあるので触らないよう注意。


撮影ポイントまで来たらしっかりとした場所に三脚を立てる訳だが、三脚にカメラを取付ける前にしなければいけないことがある。
それはピント合わせだ。

薄暗いうちに三脚をセットして構図を決めておくことができるのであれば、ピントは暗くなる前に合わせることができる。しかし、暗くなってホタルが飛ぶ時間になってから構図を決めるとなると、あたりが暗いためにAFもMFも出来なくなってしまう。そういった場合は

 1)写真の構図を決める。ズームレンズならそれ以降ズームリングが動かないようにテープで固定する
 2)AF補助光がOFFであることを確認(周りに迷惑をかけないため)
 3)ピントを合わせたい距離と同じくらいの距離の明るい部分(街灯等)を見付ける(必要なら自分が移動)
   連れがいるときはペンライト等を持って欲しい距離のあたりまで移動してもらい服等を照らしてもらう
   もちろんホタルや他人の迷惑にならないように行うこと
 4)その部分に向けてAFを利用して一旦距離を合わせる
 5)そのままMFに切替え、ピントリングにはそれ以降絶対触らないようにする。(テープでピントリングを固定する
   のがベスト。フルタイムMF付のレンズならAFする前からテープを貼っておくと良い
 6)三脚にカメラをセットする。(レリーズの取付けも)

という作業をして、ピント(距離)をとにかく合わせておく必要がある。
レンズについている距離の目盛りはあてにならないことが多いのでこの方法のほうが無難。
なお、コンデジならMFで無限でも問題ないと思う。




4.ISOと絞り(F値)の設定

カメラをマニュアルにしてホタルの光跡の明るさと太さをISOと絞りでまず決定する。
この適応範囲はかなり広く、多少明るさが違っても意外に光跡は変わらない。
サンプルの蛍の光跡の太さ・明るさを見て確認して欲しい。(背景や蛍の数は無視)
  
  LEVEL 1 LEVEL 2 LEVEL 3 LEVEL 4 LEVEL 5 LEVEL 6  
ISO 絞り(F値) ノイズ 被写界
深度
3200 11 8 5.6 4 2.8 2 多い





少ない
深い





浅い
1600 8 5.6 4 2.8 2 1.4
800 5.6 4 2.8 2 1.4  
400 4 2.8 2 1.4    
200 2.8 2 1.4      
100 2 1.4        
イメージ (自然)細い・暗い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・太い・明るい(強調)  
ゲンジ
ボタル
写真
 
-  
 
お薦め  ゲンジボタル   ヒメボタル 

前述したようにホタルの光跡の太さと明るさはシャッタースピードと全く関係ない。
LEVEL1は見た目に近く、LEVEL5だと相当光跡が膨張して太くなる。
この光跡の太さは家に帰ってパソコンで見る(現像する)までわからないので予め決めておく必要がある。
LEVEL1であればコンデジでも撮影可能。
ホタルが近くて多いならレベルを下げ、遠くて少ないならレベルを上げるというイメージでもいいと思う。
初めての撮影でゲンジボタルならLEVEL2が無難
あまりレベルを上げるとホタルが大きな虫に感じてしまう。
ヒメボタルはLEVEL1だと点にしか写らない。出来るだけ強調し、ヒメボタルはLEVEL5以上としたい
なお、ノイズを避けるためにはできるだけISOを低い数値にするほうが良いので、レンズの絞りは開放にするのが一般的だ。




5.シャッタースピードの決定

背景の露出を決定するためにはシャッタースピードを決めなければいけないのだが、太陽の明かりが少しでも残っている状態だと刻々と露出は変化してしまう。後述の背景をあとから合成する方法を別にすると、本番の撮影は多少ホタルが飛び始めてもあわてて開始せず、あたりが完全に暗くなるまで待ってからスタートした方が無難だ。ただし月明かりを含め光が皆無の場所では太陽の薄明かりをうまく利用して撮るしかないのでこの限りではない。(9項参照)
さて蛍の背景を撮影するに当たってはカメラの露出計は全く当てにならない。
露出計は明るい方に引っ張られるので、カメラのAEが示すシャッタースピードで撮影すると特にデジタルだと背景は真っ暗になってしまう。周囲の明るさはその日の天候や月の位置などでいつも違う。しかしやはり写真とすれば背景の川や草が良い具合に写って欲しいと思うだろう。
従ってここは現地での手探りでの設定になってくる。
カメラの液晶を見ながら明るさを確認するのが確実だ。
なんせこれまで僕の経験では少量の人工光のある理想的な場所でも足元が見難い月の無い夜から満月の夜までで ISO1600/30sec で F1.8〜F7.1 以上の範囲があった。シャッタースピードに換算すると4段・16倍以上の差があることになる。

本来なら、決めたISO及びF値で何通りもシャッタースピードを変えて写してみるのが単純でいいのだが、その時間を節約するために以下の手順に従って適正なシャッタースピードを予測することが出来る。

  1) カメラ設定はマニュアル。ISO最高・絞り開放にして、それが上記のどのレベルかを把握しておく。
  2) とりあえずカメラ任せの露出で撮影し、シャタースピードを把握する。
     (完全に陽が落ちた状態なら、最初から+2EVとなるシャッタースピードでまず撮影してみるのが良い)
  3) 液晶を確認し、もしも背景が暗ければシャッタースピードを2倍にする。
     もしも明るければシャッタースピードを半分にして再度撮影
  4) これを繰り返して背景の明るさが適切になるシャッタースピードを見つける。
     明るすぎるのは禁物。
背景は暗目の方が良い

これによって、ISO最高レンズ開放状態のレベルと実際に写そうとするレベルの差の段数だけ2を掛け算したものが撮影する適正なシャッタースピードということになる。

なお、このシャッタースピードを決める方法は銀塩カメラとデジカメと2台体制の人にもとても有効だ。銀塩カメラでシャッタースピードを決めるには経験と勘が頼り。一台デジカメを持っていれば写真の仕上がりを推測することが出来る。

注意点としては、液晶画面を見るという作業をする場合その液晶の灯りそのものが他のカメラマンおよびホタルの迷惑になることで、黒い布で周りを覆うなりして周囲の人に迷惑にならないように気をつけよう。
(またカメラの背面を覆うのはファインダーから余計な光が入ることの防止にもなる。僕の場合は撮影中は必ず黒い帽子をカメラに掛けることにしている。)


上記の作業を例を示して説明する

仮に使用するレンズの開放絞りがF2.8でカメラの最高感度がISO1600だったとしよう。だとすればLEVEL4だ。
1)〜4)の作業をして、ISO1600/F2.8の場合に背景の明るさが適切となるシャッタースピードが30secになったとする。
自分が本当に撮影しようとしている設定がISO400/F4だとすればそれはLEVEL1だからLEVEL4とは3段の差。
つまり 30sec×2×2×2=4min で4分が適正シャッタースピードということになる

  LEVEL 1 LEVEL 2 LEVEL 3 LEVEL 4 LEVEL 5  
ISO 絞り(F値) ノイズ 被写界深度
3200 11 8 5.6 4 2.8 多い





少ない
深い





浅い
1600 8 5.6 4 2.8 2
800 5.6 4 2.8 2 1.4
400 4 2.8 2 1.4  
200 2.8 2 1.4    
100 2 1.4      
イメージ (自然))細い・暗い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・太い・明るい(強調)  
シャッタースピード 4min ← 2min ← 1min ← 30sec -
ホタルの数 多い ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 少ない

露出の理屈がわかっている人ならきっと簡単だろう。
ホタルの明るさを明るくすればシャッタースピードは短くなることになる。

これでISO・絞り・シャッタースピードが決まったので、後はシャッターを押せばホタルの撮影はOKだ


なお、ここでもしも結果としてISO1600で30sec以上の露出が必要だったときは、ノイズが相当量乗ることを覚悟しなければいけなくなる。今日現在のデジカメではISO1600/30sec以上はノイズがあまりに酷くなるので、見苦しい写真になる可能性が高い。
ISOをなるべく低くしてLEVEL1もしくは2のパターンで長時間露光撮影せざるを得ないだろう。
ゲンジボタルならF2.8以下のレンズさえあればISO200でLEVEL1での長時間露光撮影が可能。
ヒメボタルの場合は後述の背景を合成する方法を最初から選択する方が良いと思う。


画像合成が出来ない場合は上記で決めたシャッタースピードを基本にし、そこからシャッタースピードを少しずつ変えながら何枚か撮ってみるのがいいだろう。
なるべく沢山撮って出来のいいものを選ぶようにしよう。
また撮影するときは外からヘッドライトなどの不要な灯りが入ってくることがある。予測できる場合は素早くレンズの前を黒い布で覆ってその光を回避し、その分シャッタースピードを伸ばすことが必要になる。


シャッタースピードが写真の出来上がりにかかわってくるのは背景の明るさともう一つはホタルの数
写りこんでくるホタルの数を増やそうとするのであればシャッタースピードは長い方がいいわけだが、そうするとレベルを下げて撮影しなければいけなくなるのでホタルの光が細く暗くなりがちだ。
さらにホタルの数を増やすには、やはり合成して重ね合わせていく方法がベストだ。

銀塩カメラではこういったシャッタースピードの確認が液晶画面で出来ないので一発勝負しかなくなってしまう。




6.レイヤ合成前提で実際に撮影する

デジタルの場合は合成が易しいので沢山ホタルが乱舞している写真を比較的簡単に撮ることができる。
画像のレイヤ合成が可能な場合、以下の手順で作業すればよい。
とはいっても一発写真とやり方はほとんど変わらない。
短いシャッタースピードで複数枚撮って長いシャッタースピードと同様の光跡の数に出来るということであるから、ホタルを明るく多く撮りやすいというだけである。
普通に撮った画像を複数重ねてホタルの数だけ増やすという考え方でもOKだ。

 @ 出来れば薄暗い時(ホタルが飛び始めるころ)に少し絞りを絞ってクリアな背景を撮っておく
 A 現地到着時既に暗い場合は、上記5の要領でSSを決め背景となる写真を撮る
 B 背景があまり写りこまない程度のシャッタースピードでホタルの光跡のみの写真を多めに撮影(連写)する
    (シャッタースピードを故意に短めにする)
 C パソコンで気に入ったホタルの光跡の写真をPhotoshopやGimpで比較(明)でレイヤ合成する
 D 最後に背景の写真を明るさを調整して比較(明)で合成する

短時間露光の写真を複数合成する方法の場合は撮影中不用意にストロボや車のライトの光が入ってきても気に入らないものは合成しなければいいので撮影時はとても楽だ。
30秒以内のシャッタースピードであれば、カメラを連写モードにしてレリーズでシャッターをロックすればあとは放っておいても平気。適当なときに撮影を切り上げればいいだけ。
逆にシャッタースピードが長くなると、じっとしているホタルばかり明るく写ってしまうという欠点も有るし、ノイズも増える。また不安定な背景も変に映り込まない方がクリアになる。
シャッタースピードは15〜30sec位が理想的

なお、ファイルは「JPEG&ノイズリダクションをON」が一番ノイズが取れるのだが、ノイズリダクションの為に撮影時シャッタースピードと同じだけの処理時間がかかってしまい、時間がもったいないともいえる。
高感度に強いカメラの場合はRAWでノイズリダクションはOFFとするのがベスト。
特にCANONの場合はカメラに付録で付いている「ZoomBrowser」の「RAW Image Task」でRAWを現像するのがディテールを残しながらノイズを少なくできるので一番良いと思う。もちろん「Digital Photo Professional」で現像時にノイズを除去してもよいし、「NeatImage」を使用して現像後にノイズ除去するのも良いだろう。

また暗いレンズやコンデジでも、背景を予め撮っておくことと合成さえ出来れば、撮影時は周りの明るさを気にすることなく20秒程度のシャッタースピードで何枚も撮って蛍の数を増やしていくことが出来るので、ゲンジボタルであれば撮影可能だと思ってよい。

背景撮影のタイミングはホタルが飛び始める少し前もしくは一番蛍が飛び始める時間帯が一番良い。
そうすることによって合成後の写真を自然な状態にすることが出来る。

ところでこのやり方は周りが明るいときに特に有効な方法となる。
街灯や家の灯りが多いところのホタルは背景が明るくなりすぎてシャッタースピードが5秒以上に出来ないなんていうことがある。特に満月の夜なんかはフィルムカメラでホタルの長時間露光はほぼ不可能と言っても良い。いつ行っても確実に一定時間のホタルの光跡を捕らえられるという意味ではマスター必須の方法とも言える。




7.ノイズの比較

暗いところでの撮影はISO感度を上げて長時間露出ということで、デジカメの場合ノイズが多くなりがちだ。
出来るだけISOを下げて撮る方がノイズの面からみると望ましいわけだが、ピントがずれると光跡のエッジがぼやけてくるので被写界深度を深くするためにもレンズは絞りたくなる。ところが絞るとこんどは光跡が暗くなるので、その反動でISOはつい上げたくなるものだ。
というわけでノイズの比較写真を掲載。
ただしこれはカメラの性能によるところが大きいので、今回は「canon EOS Kiss デジタルN」の場合ということで了承願いたい。

上記4で添付したサンプル写真を等倍にトリミングしたもの
使用レンズは「EF28mm F1.8 USM」
RAWで撮影し(ノイズリダクションはもちろん無し)、canonの「RAW Image Task」でそのまま現像しただけのものである。

  LEVEL 1 LEVEL 2 LEVEL 3 LEVEL 4 LEVEL 5
絞り(F値) F1.8
ISO 100 200 400 800 1600
シャッタースピード(秒) 360 180 90 45 20
実写サンプル

一般論としてシャッタースピードが長くなるとノイズは乗りやすくなるわけだが、同じ露出を前提とするとシャッタースピードが仮に長くなってもISOが低い方がノイズが少なくなるということがお分かりだろうと思う。
このサンプルにはたまたま無いが、ISO400あたりから上になると、熱ノイズ(色ノイズ:青や赤の点)がところどころに乗ってくるので、スタンプツール等でレタッチする必要が出てくる。




8.撮影例

今年撮った写真
  

真庭市北房町、ゲンジボタル

EOS kiss DN
EF28mmF1.8 USM
ISO1600/F3.5/30sec/WB:auto、LEVEL3
RITにてRAW現像
GIMPにて20枚合成・トリミング
NeatImageでノイズ除去

(デジタルキャパ、フォトコンテストに入選)
 

新見市哲多町、金ボタル(ヒメボタル)

EOS kiss DN
EF28mmF1.8 USM
ISO1600/F1.8/20sec/WB:auto、LEVEL5
RITにてRAW現像
GIMPにて90枚合成・トリミング
NeatImageでノイズ除去

(KANSAI1週間、ホタル特集に掲載)
 




9.金ボタル、「光の絨毯」の撮影 (特別編)

金ボタル(ヒメボタル)の光の絨毯の撮影はホタルの撮影の中でも特に難易度が高い。
岡山県哲多町蚊家の天王八幡神社では毎年七夕の前後に幻想的な金ボタルの光を見ることができる。
この場所は県指定の天然記念物として金ボタルが保護されていて外部の光は完全にシャットアウトしてある。そのホタルの数は驚くばかりで、ホタルそして撮影に対しての環境は素晴らしい。
ただし条件として、ホタルが光るのは夜8時〜9時の間だけということと(9時には撤収の合図がある)、真っ暗になってしまうと背景を写しこむことは不可能に近いということから一日に撮れる写真の数はたった1枚に限られてしまうということがある。(だからカメラ複数台を持込まれる方も多い)

ここへ訪れる時には必ず守らなければいけないことがある
 @ 土日は撮影禁止。
 A 暗くなったら一切の灯りをもらさないようにすること
   ・ペンライトや懐中電灯の使用禁止
   ・カメラのストロボ・AF補助光の発光禁止。背面の液晶パネルやアクセスランプは黒テープでカバーする
   ・携帯電話の電源は必ず切る
 B 虫除けスプレー・蚊取り線香などの使用禁止
 C 飲食の禁止

これらは全てホタルを保護するための決まりであってカメラマンを保護するための決まりではない。
守れない人たちにはここへ訪れてもらいたくないというのが正直な気持ち。毎年金ボタル達には出会いたい。

さて、一日に1枚だけの勝負なのだから予め撮り方は決めておけばよいわけで、考えようによっては逆に簡単ということにもなる。
金ボタルを撮影するのに一番重要なことは
A.ホタルが出る時期を把握しておくこと
B.ホタルが出る場所を把握しておくこと
C.月が出る時間・方角を把握しておくこと

この3つだ。

実はこの撮影は三脚にカメラをセットした時点で既に結果が決まってしまっている。
いつの日にどの場所でどういった構図で撮ればいいかということが重要で、後は運まかせなのだ。
撮影場所は何度か現地に行って自分で確認するか、地元のかたに聞いてみるのが一番。
この時期、毎日写真を撮りに来られている方が必ず現地にいるから聞いてみて欲しい。
あとはなるべく早い時間に現地に行ってあとは場所を確保するしかない。
(最盛期だと夕方の5時には既に三脚30本以上が並んでいる)
最盛期はいつであるかについてはある程度はHPなどを調べたら想像することができる。
月の位置は意外に重要で、月が出ていると木々の隙間から漏れる月明かりが致命的な照明になることが良くある。月光が当たる部分のみが明るく鮮やかに写ってしまうので、バランスをとるのが難しい。
夜の8時から9時の間に月が上に無い時期は暦を調べればすぐわかる。
http://koyomi.vis.ne.jp/sub/moonrise.htm
こういったサイトで調べてみて欲しい。


上記の様に哲多町の天王八幡神社にはたった1枚の写真を撮るために全国から(遠くは関東から)カメラマンが集まってきているわけだが、銀塩カメラの人がほとんどだ。
だいたい露光時間は30〜45分でISOは400〜800を使用されているようだが、フィルムには致命的な弱点がある。
観光客の携帯電話や初心者カメラマンの不用意なストロボ・AF補助光が光ることがあり、これを避けることが出来ない。
その一瞬によって遠方からやってきた銀塩カメラマンはその日一日の写真をあきらめて帰らざるを得なくなるのである。
今年3度天王八幡神社に行ったが、3回ストロボが発光し、大きなざわめきと怒号があたりに響いた。
またAFの補助光も致命的で、気がつくと木々が赤く写っている場合がある。
(写真を撮りに行かれる方はお友達にも充分注意してあげて欲しい。)

この点デジタル一眼は圧倒的に有利だ。
細切れに撮った写真をあとからパソコンでレイヤ合成するので、そのストロボの光でダメになってしまうのは細切れの中の1枚だけ。その日の写真そのものが没になることはありえない。


さて肝心の撮影の手順。
開放F2.0以下のレンズとシャッターのロック機能のあるリモコン(レリーズ)を準備し、ISO1600・絞り開放・SS15〜30secで8時すこし前から連写をし続ければいいだけだ。 他にいろいろ考える必要も無い。
念のために記載すると

1) 19:45前後にやや絞り気味で予備の背景を撮る。ピントは主要な木などに合わせる。以後絶対に三脚は動かさない。
2) ピントリングがずれないようにテープを貼って固定しておく。
3) ISO1600・絞りは開放でシャッタースピードを20秒前後にセット
4) 背面の液晶などの光が漏れないようにガードする。(黒いテープを貼る、黒い布や帽子で覆う)
   実際に1枚撮ってカメラから一切光が出ないことを必ず確認すること。
5) カメラを連射モードにして暗くなるのを待つ。
6) 8時前になったらシャッターをオン。レリーズ(リモコン)でシャッターをロック。連写開始。
7) あとは三脚に触れないようにカメラの番をしておく。
8) 9時前になったら撤収の合図があるのでレリーズのロックをOFF、撮影を終了する。
この間の撮影枚数約180枚。200枚は撮れる容量のメディアを準備してほしい。


撮影中はなにも考える必要も無い。銀塩と同じように待つのみである。
だいたい8:30までホタルが良く光るので30分で止めてもよいが、それ以降2枚目を撮影するのは苦しい。

あとは家に帰ってパソコンで加工することになる。
今年(2006年)撮った写真を例にすると

パソコンに取り込んだらまずストロボなどが入った写真は破棄する。
まず10枚づつをGIMPで合成したみたのが下の写真。
比較(明)で合成する関係上、背景が自分の思惑よりも明るいものは破棄することになる。
時間を追って周囲は暗くなるわけだが、Aの写真は20:07のものを背景に、Bの写真は20:00のものを背景にしてみた。
また、ホワイトバランスをオートにしていたせいか、太陽の光が少し残っている写真についてはホタルの光がオレンジ色に光っている。これは他のホタルの光の色にあわせて色調補正した(グリーン色に振る)。
ホワイトバランスは太陽光にしておくのが一般的だが、蛍光灯や白熱電球のモードで違った雰囲気の写真を撮るのも面白い。


背景 1〜10 11〜20 21〜30 31〜40 41〜50
時間 19:30前後 19:57 20:00 20:03 20:07 20:10
10枚の
合成写真
- - - - 合成 -
- - 合成 合成 合成 合成
コメント まだ薄暗い頃
SS1/5sec
蛍が光り始める
連写開始 AF補助光の赤い光があるカットもあった   オレンジは黄色に色調補正 ストロボ光が入っていたので、1枚破棄した
51〜60 61〜70 71〜80 81〜90 91〜100 101〜110
時間 20:13 20:17 20:20 20:23 20:27 20:30
10枚の
合成写真
- 合成 - - - -
合成 合成 合成 合成 合成 合成
コメント   ホタルが
近くを飛んだ
    
111〜120 121〜130 131〜140 141〜150 151〜160 161〜170
時間 20:33 20:37 20:40 20:43 20:47 20:50
10枚の
合成写真
- - - - - -
合成 合成 合成 合成 合成 合成
コメント   連写終了


 
31〜40、61〜70枚目 計20枚 (7分相当) 11枚目以降 計160枚 (53分相当)

19:30に撮影した背景を色調整して重ねたもの

単にトリミング・コントラスト・色調整したもの

今回はこんな感じの仕上がりになった。
地面の草をホタルの光が覆い、光の絨毯が現れた。
月明かりがあると全体的に青みがかって写るので、色温度を下げるなどして故意に青く色調を調整するのもいいかもしれない。(色はデジタルなので自由に調整できる)

なお、これを撮影したときは現地着が19:15。
すでに理想的な撮影場所が空いておらず、さらにホタルが遠かった。
本来こういう場合は28mm(APS-C)では少し短い。もう少し長目のレンズを用意しバックの空と手前の草を排除した方がベターで、特に背後の空が不自然に写っている。背景の撮影タイミングも少し早すぎる。
手前の草だけが明るいのはこの草の上側だけには木が生えておらず、空の僅かな明るさの影響を受けているためである。撮影してみるとこういった僅かな環境の違いでも露出が大きく異なることがわかる。




 続き・・・・・ 2013天王八幡神社にて

    
 


 

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