sony DSC−T9 の実力チェック   「EOS Kiss DN」 との比較

                     

先日とうとうこのカメラをお店取材用に買ってしまった。
これまでラーメン等の撮影にはsonyのDSC-U10を使っていたのだが、暗い店内で撮影すると、ノイズのいっぱい乗ったザラザラの汚い写真になってしまうことが多いというのが気にかかっていた。
一眼デジカメであるKissDNでの撮影も考えたりしたが、出張先での取材も考えると一眼を持って歩くのは不可能。
 またラーメン屋などでは特に機動性が必要。ポケットから取り出して目立たずすばやく撮影する。「これから撮りますよ」という感じのカメラは恥ずかしい。できれば隠し撮りのように撮影したい。
というわけで、最近人気のカードサイズでレンズが前に出てこず、暗いところに強いカメラが欲しくなった。
多くのコンパクトカメラの中からなぜこのカメラを選んだのかと言うと
暗いところでフラッシュを使わずに撮影するという条件では、「手ブレ補正」「高感度」という二つのキーワードがポイントとなるのだが、それでレンズが出ないタイプだとすると、現時点で候補としてはフジフィルムFinepix Z2とこのsony DSC-T9の二つの機種しかないのだ。
さらにZ2とT9では被写体を動かないものに限定すると、T9が圧倒的にきれいな写真が撮れる可能性が高いと考えられた。

T9を手に入れた今、その実力をチェックしてみようと思う。
細かいことは言わず、どんな条件まである程度の画質で撮れるのかということがポイント。
基準となるのは「KissDN+EF28mmF1.8」だ。
 
1.主な仕様
  KissDN+EF28mm
(参考)
DSC-T9 備考
有効画素数 800万画素 600万画素 A4サイズなら300万画素もあれば十分。
映像素子 22.2x14.8 1/2.5型 面積は約1/5.7
焦点距離(35mm換算) 45mm 38mm〜114mm もうすこし広角が使えたら嬉しい
開放絞り値 F1.8 F3.5-4.3 レンズが出ないコンデジはだいたいF3.5から
シャッタースピード(SS) 1/4000〜30、B 1/1000〜2 ソフトスナップモードは最長1/8sec
撮影感度 ISO100〜1600 ISO80〜640 Pモードでは自分で設定も可能
ホワイトバランス オート他 オート他5種 オート以外の全モードで変更可能
露出補正 可能 可能 オート以外の全モード調整可能
ブラケット撮影 可能 可能 オート以外の全モードで対応
手振れ補正 なし 3段分 SS8倍分の手振れ防止可
起動時間 0.2sec 1.3sec 1.3secは速いと思う
液晶モニター 1.8インチ 2.5インチ 一眼はモニターを見ながら撮影できない
重量 485g+310g 134g 小さくて軽いことはいいことだ

マニュアルで撮影できるカメラではないので、オート・シーンモード(10種)・プログラムモードのどれかを使用することになる。感度(ISO)を調整できるのはプログラムモードのみ。絞り優先・シャッタースピード優先などの撮影は出来ない。
 
2.露出設定プログラム
W端で撮影した場合、F値は8、5.6、3.5と3段階に切り替わる。
室内で撮影した場合は100%がF3.5だと思ってよい。
また暗くなるにつれISOは自動で80、100、125、160、200、250、320と変わっていく。
つまり室内ではISOとシャッタースピードで露出を決めているのと同じことになる。
(詳細はこちら)

a)オート(プログラムモードのISOオート時)
 暗くなるにつれISO80のままシャッタースピードが落ちていくが、「ISO80、F3.5、SS1/40sec」までなったところでこんどはISOが上がって行き、「ISO320、F3.5、SS1/40」となる。その後はISO320のままシャッタースピードが1/4までおちる。

b)ソフトスナップ・風景・拡大鏡・ビーチ・スノーモード
 暗くなるにつれISO80のままシャッタースピードが落ちていくが、「ISO80、F3.5、SS1/8sec」までなったところでこんどはISOが上がって行き、「ISO320、F3.5、SS1/8」となってそれ以上SSは遅くならない。

これは考えてみると、b)のシーンモードでは被写体が動かないことが想定されているのでシャッタースピードがISO80のまま1/8secまでおちるということで、a)のオートは被写体が動く想定があるので1/40のところで先にISOが上がるのだということだろう。

つまり、sonyの考え方としては
・手振れ補正機構があるのでSS1/8まで手振れは起きない
・被写体振れはSS1/40まで起きない

ということだと思う。
 
動かないものを撮影する場合はb)のシーンモードを極力使用するべきだ。
 
3.ISO感度とノイズ
DSC-T9(クリックすると拡大)

KissDN+EF28mm(クリックすると拡大)

拡大して100%で見てみてもらいたい。
T9はISOが低いときはなかなかシャープな写りをしているが、ISO320になると相当量のノイズがのっているためノイズを除去したせいなのかシャープさも低下している。
許容限度は一応ISO200ぐらいだろう。
これに対し、KissDNはISO800でもあまり気にならない。
 
4.ホワイトバランス
オート
太陽
曇り
蛍光灯
電球

室内を想定して蛍光灯下での撮影だが、オートが一番実物の色に近い。
蛍光灯の下なのに蛍光灯モードでは赤くなって電球モードで実物に近いというのはどういう訳だろう。
オートを使用するべきだろう。
 
5.シーンモードと色合い(ホワイトバランスはいずれもオート、蛍光灯下での撮影)
オート
拡大鏡
夜景
キャンドル
ソフトスナップ
ビーチ
スノー

モードとしては、オート・拡大鏡・ソフトスナップの3種が実物に近い自然な色だ。
その他は不自然だから使用できない。(風景モードはこの位置ではピントが合わない)
 
6.三脚を使用したらどんな写真が撮れるか
条件が整った場合どれだけの写真が撮れるかと言うことで、プログラムモードにしてISO80固定で三脚を置き撮影してみた。
同じく三脚を置いてkissDN+EF28mmF1.8で撮った写真と見比べて欲しい。
(クリックすると大きくなります)
KissDN+EF28mmF1.8


0.8sec、F5.6、ISO100、-2/3

45mm(35mm換算)

パラメーター2
強調なし
DSC-T9


1/2sec、F3.5、ISO80

38mm(35mm換算、W端)

プログラムモード
ISO以外は全てオート

これを見るとT9の方はコントラストが高くなっていてエッジもシャープ。かなり強調されているようだ。
しかしコンデジでの一般的な絵作りであるともいえる。
被写界深度はさすがに深い。

KissDN+EF28は補正無しのパラメーター2で撮影しているせいか柔らかい。
被写界深度も浅く、さすがにF5.6でも後ろがボケている。
なお、撮影してみると明るく写ったので(EF28のくせ?)上の写真は露出補正を-2/3行った。

補足だが、DSC-T9はプログラムモードにすればコントラスト・彩度・シャープネスを上下1段階調整することができるので、コントラストなどマイナスすればもっとKissDNに近付くと思われる。
これをみるとこのサイズで見る限りそれなりに遜色無いと思うがいかがだろうか
 
7.室内ノンフラッシュ手持ち撮影でのHIT率予想 
以前、KissDN+EF50mmF1.8Uを使用して我が家のリビングで家族のスナップ撮影(夜間・手持ち・ノンフラッシュ)をおこなったことがあるが、その時の撮影データを見てみると
 ISO800、1/30sec、F1.8 〜 ISO800、1/125sec、F3.2
となっている。
この時の明るさを基準にして下記条件できれいな写真(ブレ・ノイズの無いもの)が撮れる確率(HIT率)を計算してみた。(高感度撮影で好評のF11もあわせて計算)
  KissDN+EF28 DSC-T9 Finepix F11
条件 ノイズ
(カメラ設定)
ISO800までOK
(ISO1600可)
ISO200までOK
(自動でISO320まで)
ISO400までOK
(自動でISO800まで)
手振れ SS1/60secまでOK SS1/8secまでOK SS1/60secまでOK
被写体ブレ SS1/40secまでOK SS1/40secまでOK SS1/40secまでOK
HIT率 動かないもの 73% 46%(シーンモード) 12%
動くもの 73% 0% 12%
ノイズ無視・不動 100% 64% 39%(オートモード)
ノイズ無視・動 100% 2%(オートモード) 39%(オートモード)

さすがに一眼レフ、KissDN+EF28mmF1.8の組み合わせのHIT率は高くなる。
(もちろん条件を変更すればHIT率も変わるのであしからず)

動かないものの撮影ではDSC-T9の能力は高いと言えるだろう。室内でも昼間であれば全く問題ないと思う。ただし、前述したシーンモードを使用しないとこうはならないので注意が必要。

逆に被写体が動くものだとすると、夜間の室内ではほとんどが被写体ブレの写真になってしまうと思われる。そうならないためにはフラッシュの使用がどうしても必要だ。T9のフラッシュは被写体が近くでも白トビしにくいのでなかなか優秀だが、距離はあまりとどかないので近付いて撮影する必要がある。
DSC-T9の感想だが、お店で写真を撮るためのカメラとしてはとても優秀だと感じている。
ソフトスナップモード固定にしておけばかなりの確率できれいな写真が撮れそうだ。
また、拡大鏡モードはとてもすばらしい。本格的マクロレンズに匹敵するまでの拡大写真をコンパクトカメラで撮影できるというのは驚きだった。
ただ一つ不満としては2秒セルフタイマーが無いこと。店内が暗くて1/4sec以上のシャッタースピードで撮る必要がある場合は手振れを抑えるためにセルフタイマーをどうしても使用したいのだが、10秒タイマーでは待つ時間が長すぎるのだ。
それだけが残念。



追記

さて、実際にDSC−T9で撮った写真はどうか
現在こちらに続けて掲載しているので、参考にしていただけたらと思うhttp://photos.yahoo.co.jp/ph/hajime3776a/lst?.dir=/2853&.src=ph&.done=http%3a//photos.yahoo.co.jp/&.view=t

最近不満に思っているのは、暗所でのAFが合い難いこと。
暗いとAF補助光が発光するのだが、こういった場合はうまく合焦しない事が多い。
とくに暗いラーメン店でラーメンのスープ表面でピントを合わせることはほぼ不可能だ。そういう際は別の具材の部分でシャッターボタンを半押ししてから向きを変えることになるが、距離が近いせいかピントが思うところにあっていないことが多い。
ただし、これはあくまで一眼デジカメのKissDNと比べた場合の不満。コンデジに求めるのは無理なのかもしれない。


滝の撮影にチャレンジ

先日兵庫の「母栖の滝」へ行った際、T9で滝をスローシャッターでうまく撮れるかどうかチャレンジしてみた。

要件としては
 ● シャッタースピード1/4sec以上
 ● ISO80固定
の2点だ
絞りは成り行きで止むを得ないだろう。
T9には絞り優先モードやシャッタースピード優先モードなどは無い。ISOを指定できるのはプログラムモードのみなので、まずはこのモードでうまくいくかどうかだ。

用意しなければいけないのは三脚とNDフィルター数枚。
当日は曇りの朝の10時頃。
まずは母栖の滝に向かって三脚をセットして風景モード・ストロボOFFで撮影してみると
 SS1/8・F3.5・ISO80 
という状態だった。
この滝、周りが暗いのでこのままでも結構滝が流れて写っている。
なにもしなくてもきれいな写真が撮れそうだったが、今回の目標はSS1/4sec以上なのでプログラムモードにしてレンズの前にND4フィルターをかざしてみることにした。

  

すると、SS1/8・F3.5・ISO320 という状態
ここでISOを80に固定してみた。
これでうまくいくはず! と思ったが、困ったことに今度はAFが合焦しない。
何度やってみてもダメ!!
マクロモードになっているわけでもない。
そこで、今度は「夜景モード」に変えてみた。
「夜景モード」はもともとISO80固定だ
すると今度はうまくAFは合焦した。どういうわけかわからないが「プログラムモード」ではうまくピントが合わないが「夜景モード」ならピントが合うのである。
これによって
 SS1/2sec、F3.5、ISO80
という状態が得られたので、あとはセルフタイマーで撮影するのみ!
で、撮れた写真がこれ

   SS1/2sec、F3.5、ISO80

まずは、良く出来た写真だと思う。KissDN&sigma18-200mmで撮った写真と比べてもほとんど遜色がない。
というか逆に色目がKissDNに比べて派手なので返ってT9の方がきれいに見えるくらいだ。
(KissDNでこの写真(T9)と同じ色合いにしようとすると、露出-1/2段、ホワイトバランス「くもり」にすればほぼ同等になる。)

つまりDSC−T9で
「夜景モード」&「三脚」&「NDフィルター」&「セルフタイマー」で撮影すれば滝を流して撮ることが可能!

注意点は
1.NDフィルターは今回使用したのはND4を1枚だけだが、周囲が明るい場合は何枚か重ねてレンズの前にかざす必要があり、NDフィルターの暗さ・枚数でシャッタースピードを1/4sec程度以上に調整。ND4なら3枚以上重ねて使わないといけない場合も充分ありえそうだ。
2.フィルターをレンズの前に手でかざす場合、フィルターとレンズの隙間から光が入ってこないようにすること。
この2点かな。

日中で日が差して周囲が明るい時は多分相当苦しいから、曇りの日や朝夕に撮影する方が無難だと思った。

 


    

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